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作品に関するお知らせ

2023/06/08
トップをねらえ2![特集サイト「プレイバックエモーション」]【イマレコ!-今コレをレコメンド!】

学園とロボットと巨大スケールの宇宙アニメ

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が大ヒットした今、「学園ものの要素があるロボットアニメ」の価値が高まった。数々あるその前例の中でも、『トップをねらえ2!』は別格の注目に値する作品である。

2004年から2006年にかけて発表された全6話のOVAで、物語は地球に対して猛攻を続ける宇宙怪獣に対抗する「トップレス」たちを描く。それは超常能力を発動させ、巨大なバスターマシンに乗って戦う思春期の戦士のことだ。当然その戦闘シーンが大きなみどころになるわけだが、大きな特徴はセンスあふれる斬新なデザイン感覚であり、それを縦横無尽に動かすアニメーションならではの柔らかく自由な作画表現だ。

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巨大な守護神バスターマシン、ディスヌフが飛来し、巡航形態から変形し、学ランを着た番長のような人型になる。思わず笑いそうになるが、決してギャグではない。キックやパンチを繰りだす格闘戦は重みとシャープな威力を兼ねそなえた迫力の見せ場を形成していく。そして闘いが進展すると、さらなる驚きが待ち受けている。トップレスに憧れて田舎から出てきた少女ノノが、等身大のまま宇宙怪獣を持ちあげ、イナヅマキックを繰りだして宇宙怪獣を撃破するのだ。その必殺技は、第1作でガンバスターが放ったものと同じだから、「どういうこと?」という疑問と期待が強く心に刻みこまれる。

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第2話以後も、衝撃の設定やビジュアルが次々に画面に登場し、予想もつかないビジュアルとともにストーリーが進んでいく。トップレスの少年少女たちはフラタニティと呼ばれる火星の衛星基地に集結し、互いにライバル意識をぶつけ合いながら、固有のバスターマシンを駆使して闘う。だが、大人に近づくにつれてトップレスの能力は失われていくという……。

アンドロイドでありながら「ノノリリ」という存在を追い、ラルク・メルク・マールを「お姉さま」と慕うノノ。第4話に至り、その謎をめぐって大逆転が描かれる。人類滅亡につながる惑星規模の大破壊と、激烈なるバスターマシンの戦闘シーン。その圧巻のバトルの中で、前作とまったく異なるテイストで始まった本作が、実は正統な続編であることが判明し、まさにトリハダものの瞬間が訪れる。以後は「友情」の本質が描かれるとともに、最終回ラストシーンは前作との大きな調和が提示され、さらなる感動を呼ぶ。

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とは言っても、娯楽的な要素が何層にも分厚く構成されているため、本作が先でも大きな問題はない。なぜならば中心に描かれるのは「あこがれ」「友だち」と普遍的な心情であり、「心こそが強さだ」と励ましのメッセージが伝わってくるからだ。2作目から1作目へと、逆順に鑑賞するのも良いだろう。

その第1作目のOVA『トップをねらえ!』は、『シン・仮面ライダー』で話題になっている庵野秀明の本格的監督デビュー作である。1988年から1989年にかけて全6話がリリースされ、圧巻の演出力とSF・アニメ・特撮を横断する教養をバックに展開する、壮大な物語で金字塔的な作品となった。

宇宙怪獣の脅威にさらされ、絶滅に瀕した地球。第1話の舞台はマシーン兵器のパイロットを養成する沖縄女子宇宙高等学校と、やはり「学園ものの要素があるロボットアニメ」として始まる。落ちこぼれだったタカヤ・ノリコは「お姉さま」アマノ・カズミへの憧れ、オオタコーチと出会うことで秘めた才能を開花させる。1作目、2作目と物語構造、ストーリー展開が共通しているのである。その響き合いから、「本質」がビビッドに発見できるのである。

そして制作年を追うことで、歴史的な位置づけを見いだすのも一興だ。本作の鶴巻和哉監督は1995年のTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』で副監督を担当(同・劇場版では監督)し、庵野秀明監督の片腕として活躍した。そして2000年のOVA『フリクリ』では原案と監督を手がけ、類例のない才能で大きな話題を呼んだ。思春期の少年の額からロボットが飛びだすような斬新なビジュアルと、巨大な異形にエレキギターで女性が立ち向かうダイナミックなアクション作画は、海外でも大きな話題を呼んだ。

本作『トップをねらえ2!』は『フリクリ』の方向性の延長にありつつ、「誰にも負けないほどの愛情を持つ1作目のファン」だった鶴巻和哉監督が自分の解釈で新機軸に挑んだ作品なのだ。ここでデジタル制作時代に何が出来るのか、どのように美しい画面が作り得るのか、作画や美術をアナログ時代以上に輝かせるノウハウを磨きあげた。それは2007年の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』以後の4部作で、さらなる高みへと昇りつめていく。

30年規模で続くチームワークの醸成、テーマの継承、表現の研鑽といった様々な観点で、本作には今こそ確認すべき重要性が見いだせるのである。

text/氷川竜介(アニメ特撮研究家)

<上映情報>

『トップをねらえ!』2023年5月26日(金)より
『トップをねらえ2!』2023年6月9日(金)より順次劇場上映!
劇場情報はこちら

<発売情報>

トップをねらえ! Blu-ray Box Standard Edition
好評発売中
税込価格:¥10,780
品番:BCXA-1836
 

トップをねらえ2! Blu-ray Box Standard Edition
好評発売中
税込価格:¥10,780
品番:BCXA-1837

▼『トップをねらえ!』シリーズInfomation Site
https://v-storage.jp/gunbuster/

©BANDAI VISUAL・FlyingDog・GAINAX
©2003 GAINAX/TOP2委員会

2023/05/19
トップをねらえ![特集サイト「プレイバックエモーション」]【名作ヒストリー】

感動の高みと超絶のスケール感覚――
庵野秀明監督の本格的デビュー作は必見!

庵野秀明は2016年の『シン・ゴジラ』以後、ヒット作を連発している注目のクリエイターだ。その原点をたどると、初の本格的監督作品『トップをねらえ!』にたどりつく。同作は『機動警察パトレイバー』とほぼ同時期の1988年から1989年にかけて、各30分、全6話でリリースされたOVAである。アニメーション制作はGAINAX、製作はバンダイ(※1)、ビクター音楽産業(※2)。キャラクター原案は美樹本晴彦、メカニックデザインは宮武一貴と『超時空要塞マクロス』(82)のメンバーを中核に置き、ハリウッド映画『トップガン』と山本鈴美香の漫画『エースをねらえ!』を合成した題名から分かるとおり、「商品として売ること」が大前提の企画であった。

GAINAXは1987年にバンダイ初の映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』を完成させる目的で設立された会社だった。公開後、赤字解消目的でその後いくつかOVAを制作することになった1本として、本作は開発された。『王立』で戦闘と宇宙ロケット打ち上げを迫真の作画で実現した庵野秀明は、GAINAXで打ち合わせの待ち時間に、岡田斗司夫と山賀博之の書いた脚本の第2話を偶然通読する。いたく感動したものの、企画が中座されていることを知り、一念発起して監督に名乗り出た。つまりこの作品が無ければ、1990年のテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』、1995年のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』が誕生せず、1990年代以後のアニメの歴史は大きく変わっていたのだ。

背景には、80年代にバブル経済と並走して拡大した「オタク文化」があった。1977年に劇場版『宇宙戦艦ヤマト』がヒットしてアニメブームが到来し、専門知識を持つファンが激増する。さらにファンが社会に出てもアニメを受容し続けるようになったのが『超時空要塞マクロス』が放送された1982年ごろだった。GAINAXの母体となったDAICON FILMもこの流れに乗り、1981年に日本SF大会のオープニングアニメを自主制作して有名になった。庵野秀明がメカとエフェクト、赤井孝美が美少女キャラクターを作画した同作は、この時期に男子ファンの関心が「メカと美少女」に集中していく流れを考えると非常に象徴的である。そして1983年末に誕生したOVA(オリジナルビデオアニメーション)は、作品の価値がダイレクトに金銭と交換される画期的なメディアとなった。そんな時期、『トップをねらえ!』は商売を前提として開発された。

超高速航行で宇宙進出を遂げた人類は、宇宙怪獣の襲撃によって絶滅寸前の危機が、まず大状況として設定されている。その対抗手段が、露出の多い体操服のようなスーツを着た美少女パイロットの操縦する巨大ロボットである。そしてその候補生が訓練学校で成長ドラマを演じれば、完璧ではないか。

実際、第1話はその路線でスタートする。当初はロボットが器械体操をしたり、パイロット候補生が鉄ゲタを履いて訓練するなど、笑いを取る描写が多く、パロディ的要素も散りばめられていた。主人公・タカヤ・ノリコがコーチに才能を見いだされ、「お姉さま」ことアマノ・カズミとともに戦艦ヱクセリヲンに乗艦すべく宇宙に出る展開も『エースをねらえ!』の枠組みを踏襲している。

様子が変わり始めるのが第2話である。ノリコの亡き父とのドラマはSF的な仕掛け、相対性理論に基づく「ウラシマ効果」によって「時空を超えた絆」として、力強く描かれる。第3話のノリコは、知り合った男子生徒スミス・トーレンと作戦行動中に死別。しかしその描写は、シビアな現実を突きつけるシリアスな演出で描かれる。続く第4話は彼の死に戦意を喪失したノリコが、艦隊全滅の危機を前に決意を固め、建造されたての超巨大ロボット、ガンバスターに乗りこんで逆転劇をドラマチックに達成させる。馴染みある導入から始まり、笑いと絶望を交えて起伏を持たせながら、気がつくと感動の高みにいる。これは庵野秀明監督の近作でも採用されているセオリーである。

第5話では、ここまでをふまえ、地球に残った人びとと同じ時間を共有することができないノリコの悲哀、カズミの苦しみが「ウラシマ効果」を前提として描かれる。そのダウナーな状況から、完成したガンバスターが放つ無敵の攻撃を見せるカタルシスは、驚きをもって受け入れられた。

最終回の第6話は白黒にワイド画面とルックを根底から変え、銀河系サイズの総力戦が展開する。さらに決戦の頂点としてブラックホール爆弾が作動すると、地球とノリコたちの時間差が1万2千年と、超巨視的な断絶がもたらされる。この絶望が希望に転換し、感動の結末へ至る大転換のカタルシス、そして銀河系規模の比類なきスケール感は、後続の多くの作品へと影響をあたえた。

その「高みへと展開していく感覚」は、「オタク文化から始まった作品が超感動的作品に結実する」という本作が実現した成果と相似形を描くものでもある。『トップをねらえ!』の成り立ちと達成を理解することで、歴史の大事な筋道がキラリと光って見え始める。そうした位置づけにある必見の作品と言える。

text/氷川竜介(アニメ特撮研究家)

※1=バンダイが製作し、現在はバンダイナムコフィルムワークスが映像事業を継承しています。
※2 現:FlyingDog

<上映情報>

『トップをねらえ!』2023年5月26日(金)より
『トップをねらえ2!』2023年6月9日(金)より順次劇場上映!
劇場情報はこちら

<発売情報>

トップをねらえ! Blu-ray Box Standard Edition
好評発売中
税込価格:¥10,780
品番:BCXA-1836
 

トップをねらえ2! Blu-ray Box Standard Edition
好評発売中
税込価格:¥10,780
品番:BCXA-1837

▼『トップをねらえ!』シリーズInfomation Site
https://v-storage.jp/gunbuster/

©BANDAI VISUAL・FlyingDog・GAINAX
©2003 GAINAX/TOP2委員会

2022/10/24
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』[特集サイト「プレイバックエモーション]【イマレコ!-今コレをレコメンド!】

日本から「セルアニメ」の制作文化が消えておよそ10年。アニメの制作は完全にデジタルへと移行し、新たなセルアニメが作られることはなくなったが、日本のセルアニメは世界でも非常に注目度の高い存在だった。特に80年代は『AKIRA』『機動警察パトレイバー 劇場版』『ヴイナス戦記』など、後世に語り継がれるハイクオリティな作画による劇場アニメが連発した伝説的な時代。日本アニメ界の歴史を変えた傑作『王立宇宙軍 オネアミスの翼』が公開されたのも87年、この時代だ。35年もの間アニメファンに愛され続けている本作は、セルアニメ最高峰とも言える圧倒的なクオリティの作画力を見せつけてくれる。

庵野秀明、貞本義行らが集結した、セルアニメ最高峰の作画

1984年に『王立宇宙軍 オネアミスの翼』制作のためにアニメ会社・GAINAXが設立された。(詳細は「名作ヒストリー」にて紹介)本作には庵野秀明、貞本義行、樋口真嗣といった、今や世界的に名をはせるクリエイターたちが制作に参加。数々のセルアニメの頂点と言えるべき、最高峰の作画クオリティを実現している。
喜怒哀楽、豊かな百面相を見せる主人公・シロツグを始めとする登場人物たち。服のシワ、配管や配線の1本1本まで綿密に描きこまれた背景美術。独創的なデザインであるがゆえに生まれる、リアリティ溢れる異世界の機械や設備の数々にも目を奪われる。
中でも本作において特に視聴者を魅了したのは終盤。庵野秀明が作画を担当した、一連のロケットの打ち上げシーンだ。軍の交戦から始まり、戦闘の爆発で破片となって飛び散る様々な部品、ロケットから噴出する煙の作画や落下していく氷片、とにかく瞬きすら忘れてしまう印象的な描写が数多く存在する。そんな中でも「伝説」としてファンの間で語り継がれているのは、やはりロケットが打ち上がる直前。ロケットの表面から剥離し重力に従って落ちていく無数の氷の破片が、1枚1枚手描きで描かれている、あまりにも緻密かつ精巧な作画シーンだ。デジタルアニメ最盛期の現代であれば間違いなくCGを使った表現となるだろう描写を手描きで、破綻なく魅せる美しさは圧巻の一言。スロー再生、時に停止しながら何度でも視聴したくなるだろう。

異世界×SFの先駆け的ストーリーと世界観

もちろん本作の魅力は作画の良さだけではない。現実の地球とは似て非なる世界観を基にした、宇宙開発がテーマのストーリーも、時代の先駆者としての役割を担った。
主人公は、オネアミス王国の“戦わない軍隊”王立宇宙軍に所属する、さぼり放題の兵士シロツグ。何事にも無気力だった凡人のシロツグが、ある日神の教えを説く少女・リイクニとの出会いをきっかけに、有人宇宙飛行の宇宙飛行士へと志願。王立宇宙軍の、ロケット打ち上げに向けた壮大なドラマが描かれる。お荷物部隊とすら揶揄された宇宙軍が総力を挙げてロケットの打ち上げに尽力する姿と、その中核となったシロツグの激動の日々は見る者に様々な共感を呼ぶだろう。また、シロツグとリイクニ、リイクニが保護する幼子・マナとの人間ドラマにも心を揺さぶられる。

壮大なストーリーを支える、「現実の地球とは似て非なる世界観」を表現した背景や、人々の営みも見どころの1つだ。
物語の序盤、シロツグが初めてリイクニと出会うオネアミスの街中は、アングラ感あふれるネオン街。現実の地球とは(似ているが)異なる言語が書かれた独創的なデザインの看板が並び、その多くはネオンの輝きに包まれている。科学による繁栄を続けているこの世界だが、まだまだ発展途上にあることを強く意識させられる。王立宇宙軍の秘密工場がある場所も印象的だ。近隣に工場が立ち並ぶ区画にあるようだが、秘密工場そのものは多種多様なスクラップだらけのゴミ山の中にひっそりと建てられており、まさに発展途上国といった雰囲気となっている。

そんな騒々しい街から一転、リイクニが暮らしているのは周囲に自然しかない、田舎と言うにも辺鄙過ぎる場所だ。あるものは家とわずかな街灯、それと線路の終着点くらい。賑わう街を描いた後に映されるこの喧騒と静寂の落差は、同時に人々の貧富の差でもあり、1つの背景に様々な情報が込められていることが分かる。

また、リイクニはこの世界独自の宗教の信者でもあり、今の人々のあり方に疑問を抱き、神の教えに沿って生きようとしていた。人類が火を手に入れたことで醜い争いや戦争が起きてしまったという内容は現実の地球と同じ、戦争の悲劇を繰り返すべきではないという警鐘にもなっている。有人宇宙飛行、人類の未来の開拓をテーマにした制作陣の平和への想いが、作品に表れているようにも思える。

80年代当時は、宇宙開発やロケット技術について描くストーリーが一般的にはややなじみの薄い題材であったかもしれない。しかし当時から30年以上が経過し、ついに民間人が宇宙へ行けるようにもなった現代。宇宙やロケットに対して視聴者の理解度や関心も高まったという意味でも、本作は再注目されるべきだと言えるだろう。

text/リワークス(加藤雄斗)

<公開情報>

2022年10月28日(金)より劇場公開!
劇場情報はこちら

<発売情報>

王立宇宙軍 オネアミスの翼
4Kリマスターメモリアルボックス
(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc)【特別限定版】


15,000円(税込)/BDOT-0267

2022年10月28日:上映劇場にて最速先行販売
2022年11月4日:A-on STORE、A-on STORE プレミアムバンダイ支店、EVANGELION STOREにて販売
※特別限定版は数に限りがございます。無くなり次第終了となりますのであらかじめご了承ください。
※特別限定版は、上映劇場ならびにA-on STORE、A-on STORE プレミアムバンダイ支店、EVANGELION STORE 以外での販売は予定しておりません。
 

王立宇宙軍 オネアミスの翼
4Kリマスターメモリアルボックス
(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc)【通常版】


14,080円(税込)/BCQA-0016
2022年11月25日:一般流通にて発売


▼王立宇宙軍 オネアミスの翼 公式Twitter
@Honneamise1987 推奨ハッシュタグ:#王立宇宙軍

©BANDAI VISUAL/GAINAX

2022/10/19
王立宇宙軍 オネアミスの翼 [特集サイト「プレイバックエモーション]【名作ヒストリー】

1987年、古き良きセルアニメの全盛期。そんな時代に、バンダイ(※)が映画製作に初挑戦したアニメ作品をご存じだろうか? それが今もアニメファンの間で伝説として語り続けられている『王立宇宙軍 オネアミスの翼』だ。今から35年前の1987年3月14日に劇場公開された本作は、物語、世界観、演出力、作画、美術そのすべてで高評価を獲得しただけでなく、日本のアニメの歴史において大きな転換点となった。
※バンダイが製作し、現在はバンダイナムコフィルムワークスが映像事業を継承

気鋭のクリエイターが集結、GAINAX設立
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』制作のために、1つのアニメ制作会社があたらしく設立された。その会社こそ、のちにOVAシリーズ『トップをねらえ!』、NHKで放送された『ふしぎの海のナディア』、そしてアニメ好きでなくともその名を知らぬ人のいない『新世紀エヴァンゲリオン』など大ヒット作を立て続けに生み出したGAINAXだ。GAINAXには創設時から庵野秀明、貞本義行、樋口真嗣といったそうそうたるメンバーが参加し、本作の制作に携わっている。

そもそも『王立宇宙軍 オネアミスの翼』はどんな作品?
舞台はこの世界によく似た、けれどこの地球ではない世界。その小国のひとつオネアミス王国に落ちこぼれが集まる戦わない軍隊「王立宇宙軍」があった。シロツグ・ラーダットは、ある少女・リイクニとの出会いをきっかけに宇宙パイロットに志願し、有人人工衛星の打ち上げを目指す。この世界と異なる世界の文化や情景を緻密に設計し、そこに息づく人々を丹念に描いたオリジナルSFアニメだ。当時大流行していた他の派手なSF作品とは異なり、地に足のついた世界観と現実感のあるドラマに、膨大な作業と細やかな手法で織り上げられた、他に類を見ないオリジナリティがあふれている。

最高峰の作画で世界が変わる
あまたあるアニメーション映画の中で、その名を長く高めている理由の一つが、圧倒的な作画力だ。貞本義行のキャラクター造形、庵野秀明のダイナミックで緻密なエフェクト作画は、今でも他の追随を許さないとアニメファンの語り草だ。登場人物たちの多彩な表情や、日常の何気ない動き。飛行機の飛翔感や、空気感を伴った戦闘シーン。そして、ロケット発射シークエンスは間違いなく世界最高峰の映像だ。さらに、初めて見るのに何故か懐かしさを感じる町並みや生活感あふれる空間、背景美術。異世界にリアリティを与える独創的で存在感のあるデザイン。あらゆる点で妥協がない。手描きによるアニメーションは、それ故に色あせることなく、デジタルアニメが主流となった現代でこそ、より一層の輝きをもって、観る者を圧倒するだろう。

2022年、4Kリマスターで復活
35周年という節目に4Kリマスターが実現し、緻密でダイナミックな映像が公開当時をしのぐクリアな画質で復活した。10月28日(金)から全国の劇場で4Kリマスター版が劇場公開。更に、UHD BD(※2)化されることが決まり、劇場・流通販売限定の特別限定版には、442ページにもおよぶ本作の絵コンテ集が同梱されている。細部まで緻密に描きこまれた作画を4Kの最高の画質で、劇場そしてUHD BDで楽しんでいただきたい。
※2 「UHD BD」=「4K ULTRA HD Blu-ray」とは、4K(3840×2160)の高解像度、HDRによる高輝度表示、BT.2020の広色域再現を備えた次世代の映像メディアです。

<公開情報>

2022年10月28日(金)より劇場公開!
劇場情報はこちら

<発売情報>

王立宇宙軍 オネアミスの翼
4Kリマスターメモリアルボックス
(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc)【特別限定版】


15,000円(税込)/BDOT-0267

2022年10月28日:上映劇場にて最速先行販売
2022年11月4日:A-on STORE、A-on STORE プレミアムバンダイ支店、EVANGELION STOREにて販売
※特別限定版は数に限りがございます。無くなり次第終了となりますのであらかじめご了承ください。
※特別限定版は、上映劇場ならびにA-on STORE、A-on STORE プレミアムバンダイ支店、EVANGELION STORE 以外での販売は予定しておりません。
 

王立宇宙軍 オネアミスの翼
4Kリマスターメモリアルボックス
(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc)【通常版】


14,080円(税込)/BCQA-0016
2022年11月25日:一般流通にて発売


▼王立宇宙軍 オネアミスの翼 公式Twitter
@Honneamise1987 推奨ハッシュタグ:#王立宇宙軍

©BANDAI VISUAL/GAINAX

2022/06/27
『プラネテス』(後編)[特集サイト「プレイバックエモーション]【イマレコ!-今コレをレコメンド!】

NHK Eテレにて毎週日曜 午後7時00分より放送中のTVアニメ『プラネテス』をイマレコ<-今コレをレコメンド!->!
漫画『プラネテス』をTVアニメ化するにあたって、より作品の魅力を増幅させるに至った新設定を前編・後編で紹介!

「デブリ課の新人タナベ・アイ」というキャラクター設定

漫画『プラネテス』をアニメ化するにあたって、大きく設定が変えられたもうひとつのポイントが、デブリ課の新人タナベ・アイの人物造形だ。
原作のタナベは、ちょっと神秘的な雰囲気を持った人物として登場する。やがて彼女は、捨て子である歳まで一切言葉を持たなかったということが明かされる。愛がすべてを救うという信念を持っているが、それは彼女が社会からすこしはみ出したところに生きているからだ。
一方、アニメのタナベは、ごく普通の人間だ。デブリ課に新入社員として入ってきたタナベは、すぐに「愛」を持ち出して、それで物事を測ろうとするが、それは彼女が頭でっかちの理想主義者だからだ。そして新人というのは、しばしば頭でっかちで理想主義者である。彼女は、空気を読むことが不得手な人物だが、別に社会からはみ出しているわけではない。
しかしだからこそ、アニメのタナベは、Phase11「バウンダリー・ライン」のような不条理に満ちたこの世の中にあって、「お前がいう愛は本物かどうか」を試されることになる。

ハチマキとタナベの物語

Phase24「愛」。テロリスト・宇宙防衛戦線のテロにより、月面に投げ出されたタナベと同僚のクレア。クレアは太ももを怪我して自力で歩くことができない。絶体絶命の状況に置かれたタナベは、クレアを背負い、計算上は酸素残量ギリギリで到達できるはずの最寄りの有人通信施設を目指す。けが人を置いていけばタナベは助かる。だが、タナベはそのような生き方ができる人間ではない。そしてけが人を担いで歩いた結果、予想よりもはるかに多くの酸素を消費してしまい、通信施設に辿り着く前に酸素不足のアラームが鳴り始める。

原作『プラネテス』は終幕に、主人公ハチマキの「愛し合うことだけがどうしてもやめられない」という言葉を置いた。
この言葉をハチマキにいわせるため、アニメは、原作に準拠しつつ、木星往還船「フォン・ブラウン号」の乗組員になるため、自らを研ぎ澄ましていくハチマキの姿を丁寧に描いた。そしてハチマキは、社会から距離をとり自分の内側へとどんどん掘り進んでいく。しかしその果てに、彼はついに内破して、自分なりに「世界のあり方」を体感する。ハチマキは、社会にあるものすべてが繋がって、自分を構成していることに気づく。

タナベに与えられた試練はこのハチマキの“内破”の過程と対になるエピソードといえる。そこまで突き詰めなければ、この不条理に満ちた世の中で、「愛し合うことだけがどうしてもやめられない」ということはできない。
TVシリーズ前半の、社会とそこに生きる人々を感じさせるエピソードの積み重ねは、このようにして主人公ハチマキと副主人公タナベの物語を裏打ちしているのである。『プラネテス』の魅力はそういう部分にある。

text/藤津亮太

<発売情報>

プラネテス Blu-ray Box 5.1ch Surround Edition
好評発売中
税込価格:¥55,000
 

EMOTION the Best プラネテス DVD-BOX
好評発売中
税込価格:¥16,500

<再放送情報>

2022年1月よりNHK Eテレにて毎週日曜夜7時~放送中


▼『プラネテス』公式サイト
http://www.planet-es.net/

©幸村誠・講談社/サンライズ・BV・NEP

2022/03/28
『プラネテス』(前編)[特集サイト「プレイバックエモーション]【イマレコ!-今コレをレコメンド!】

NHK Eテレにて毎週日曜 午後7時00分より放送中のTVアニメ『プラネテス』をイマレコ<-今コレをレコメンド!->!
漫画『プラネテス』をTVアニメ化するにあたって、より作品の魅力を増幅させるに至った新設定を前編・後編で紹介!

「登場人物たち=会社員」という設定

TVアニメ『プラネテス』は幸村誠による同名マンガが原作だ。原作もアニメも、デブリ(宇宙ゴミ)回収を仕事とする主人公ハチマキを中心とした物語という点は変わらないが、アニメ化にあたり大きく設定が変わっているポイントが2つある。その1つが、ハチマキがテクノーラ社という企業に所属しているという設定だ。
テクノーラ社は宇宙産業関係の大企業という設定。ハチマキが所属するデブリ回収チームも「デブリ課」という同社の一部署という位置づけになっている。そしてこのデブリ課は「半課」と呼ばれ、社内でもお荷物扱いされている、問題のある部署なのだった。

このアレンジは『プラネテス』という作品に「お仕事もの」という切り口を与えるためのものだ。「低軌道でデブリを回収する」という、一般視聴者には縁遠い題材を「会社の仕事」という設定にすることで、身近に感じてもらおうというわけだ。このアレンジに伴って、デブリ課の課長や、事業部長のドルフ、ハチマキの同僚として管制課のクレア、航宙課のチェンシンなどのオリジナルキャラクターが新たに配された。

こうして「お仕事もの」という切り口が加わった結果、『プラネテス』の世界の“解像度”は大幅にあがった。原作ではキャラクターの内面に近寄っていた“カメラ”が、アニメでは少し引き気味になり、そこに「人々の暮らし」や「社会情勢」というものが映り込むことになった。ハチマキたちがどんな世の中で生きているかが、よりくっきりと見えてくることになった。

現実世界との共通点が垣間見えるリアルなドラマに共感!

この方向性が一番明確に伝わってくるのがアニメオリジナルのエピソード、Phase5「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」とPhase11「バウンダリー・ライン」だ。
「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」は、月へ向かうルナフェリーの中でハチマキやタナベたちと乗り合わせた乗客たちが繰り広げる、ややドタバタ色のある内容だ。登場するのは、借金を理由に心中を覚悟した親子連れ、タナベの財布をするスリ、それにあやしげな映画(AV)撮影クルーなどなど。彼らはそれぞれの立場で人生を語る。
これだけ取り出せばごく普通のエピソードなのだが、実は彼らは、その後のエピソードの中でも折に触れてその姿が点描されていく。彼らもまた彼らの人生の中では“主人公”であり、そういう多くの人々によって世間は構成されているのである。

「バウンダリー・ライン」は、小国エルタニカの技術者テマラが、独自に開発したEVAスーツを採用してもらうために奮戦するという内容。エルタニカは経済封鎖と内戦で国情はボロボロ。テマラはそんな国を立て直すには技術立国しかないと思い、仲間とともにEVAスーツを開発したのだった。このエピソードには「内戦」「南北格差」「非常な国際政治」といった要素が詰め込まれている。

「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」が「世間にはいろいろな人がいる」だったのに対し、「バウンダリー・ライン」はこの世の中にはどうしようもないこと(不条理)が存在することを描く。バウンダリー・ライン(国境線)はその象徴といえる。
「お仕事もの」を入り口に、そのような世の中のあり方を見せてくれるのがアニメ『プラネテス』なのである。

text/藤津亮太

<発売情報>

プラネテス Blu-ray Box 5.1ch Surround Edition
好評発売中
税込価格:¥55,000
 

EMOTION the Best プラネテス DVD-BOX
好評発売中
税込価格:¥16,500

<再放送情報>

2022年1月よりNHK Eテレにて毎週日曜夜7時~放送中


▼『プラネテス』公式サイト
http://www.planet-es.net/

©幸村誠・講談社/サンライズ・BV・NEP

2021/12/27
スクライド [特集サイト「プレイバックエモーション]【名作ヒストリー】

20年前の2001年12月26日はテレビアニメ『スクライド』の最終話放送日。制作はサンライズ、監督は谷口悟朗、脚本を黒田洋介、キャラクターデザインは平井久司。『無限のリヴァイアス』のメインスタッフが再集結し、熱いストーリー展開で人気を博したオリジナルアニメーションだ。男たちの熱い(熱すぎる)バトルに次ぐバトル、ときどき友情あり、愛あり、そして涙ありの物語に胸が熱くなる能力バトルアニメは、放送10周年プロジェクトとして、2011年~12年にかけて、新作パートを加え、全編新アフレコ、HDデジタルリマスターにより全2部作として新たに再構成した『スクライド オルタレイション TAO』『スクライド オルタレイション QUAN』を制作。全国9館にてイベント上映が実施された。放送20周年となる2021年には、新作ドラマCD付きの設定資料集「『スクライド』設定資料集【新作ドラマCD付き】」やムック「スクライド 20th ANNIVERSARY BOOK」が発売されるなど、その人気は色褪せない。

拳と拳で語り合う熱い男たちに惹かれる!
『スクライド』(2001年7月4日〜12月26日放送)

突然の大隆起により形成された大地ロストグラウンド。この日本本土から隔絶された独立自治領には、特殊な二層社会が発展。何時しかロストグラウンド生まれの新生児の中に「アルター能力」という特殊能力を持つ者達が現れ始める。 ロストグラウンドの崩壊地区で生まれ育ったアルター使いで、なんでも屋として生活していた少年カズマは、ロストグラウンドにおける警察機関「ホールド」内の“アルター”能力者による部隊「ホーリー」に所属するアルター使い劉鳳と出会う。正反対に見えながら実は似たもの同士の彼らは、反目しながらも拳を交え、いつしか男の友情・絆が育くまれていく。カズマ役を保志総一朗、劉鳳役を緑川光、カズマに絶対的な信頼を置く由詑かなみ役の田村ゆかりをはじめ、山崎たくみ、永島由子、倉田雅世、高田裕司、津久井教生など、実力派声優が参加。予告ナレーションは若本規夫が務めている。

自分の力を信じぶつかり合う少年たちのヒロイズムを描く鮮烈格闘アクションである本作の魅力は男臭さ。汗の匂いも感じそうなほど、男臭い戦いの物語が描かれるのだが、この男臭さを引き立てる要因は「アルター能力」だ。アルターには個人の性格が反映され、強いアルターは本人の意思の強さを意味する。ゆえに激しくぶつかり合えば合うほど、本人の意地、気持ちのぶつかり合いが垣間見え、男臭さを感じるのだ。
「なんか気に入らないから倒す」
喧嘩の理由なんてこんなもの、とシンプルな構造で妙な説得力がある。ストレイト・クーガーをはじめ、各話サブタイトルがキャラクター名になっていることも多く、個性が強いキャラクター、飛び出す名言の数々もとても魅力的だ。
平井久司の描く女性も秀逸で、特にアルター使いで劉鳳を慕うシェリスは、物語も相まって、忘れられない印象的なキャラクターである。

『スクライド オルタレイション TAO』(2011年11月19日イベント上映)
『スクライド オルタレイション QUAN』(2012年3月10日イベント上映)

放送10周年を記念してテレビシリーズに新作パートをプラス、放送時のキャストのまま全編新アフレコをし、さらにHDデジタルリマスターによりTAO、QUANの前後編で再構成したスペシャルエディション。新キャラの追加やテレビシリーズからの設定変更などがある中、注目ポイントは結末。テレビシリーズとは違う結末はカズマたちの戦い、物語の続きをほのめかしている。


▼スクライド公式サイト
http://www.s-cry-ed.net/tv/index.html
▼スクライド オルタレイション公式サイト
http://www.s-cry-ed.net/index.html
▼スクライド オルタレイション公式Twitter
@scryed_a推奨ハッシュタグ:#scryed

©サンライズ

2021/11/22
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』[特集サイト「プレイバックエモーション]【イマレコ!-今コレをレコメンド!】

シリーズ最新作『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』が絶賛公開中!『攻殻機動隊 SAC_2045』シーズン1で共同監督を務める神山健治監督が手掛けたTVシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(以降『攻殻機動隊S.A.C.』)の主軸となる事件<笑い男事件>をまとめた『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』をイマレコ<-今コレをレコメンド!->!

<笑い男事件>とは

TVシリーズ『攻殻機動隊S.A.C.』第1シーズンの<笑い男事件>にスポットを当て追加映像をプラスした再編集版は、159分の長編OVA作品として2005年にリリースされた。2024年の“セラノ・ゲノミクス社”社長誘拐に端を発するマイクロマシンメーカー社長誘拐身代金要求企業テロ事件<笑い男事件>は、事件を追い続けていた刑事・山口の事故死をきっかけに6年の沈黙を破り、再び動き出す。

<公安9課のスタンドプレー×チームワークが凝縮された1本!>

リリースから15年以上の時を経て、練り込まれたストーリーや描かれるテーマはよりリアルに感じられ、改めて「攻殻機動隊」の着眼点や先見性の凄さを見せつけられる。TVシリーズで1話完結の物語にちらほらと関連事件が登場し、終盤にかけて中心となっていった<笑い男事件>だが、本作では物語がスピーディに進行し<笑い男事件>だけに集中できるので、とても理解しやすい。『攻殻機動隊S.A.C.』入門編としてもおすすめだ。

リピーター組は反芻することで、「攻殻機動隊」という作品の奥深さを再認識するだろう。本作では特にバトー絡みの場面が涙を誘う。終盤でのタチコマとのやりとりは何度観ても号泣! 目の前で素子が狙撃された際の叫び声には正直驚いたが、スタンドプレーが特徴でもある9課のメンバーには深い絆で結ばれたチームワークがあることに気付かされる。これぞ『攻殻機動隊 S.A.C.』と納得するポイントだ。
偉人や哲学者の言葉を引用し、遊び心をプラスして観る者を惹きつける魅力も健在。また、原作は決して新しくはないのに、最先端の犯罪捜査に見せる映像表現の素晴らしさは何度観ても思わず唸ってしまう。そして、TVシリーズとの違いの一つに音楽の変更がある。印象が変わるシーンもあるが、グイッと世界観に引き込む選曲センスはさすが!

新作『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』は、シリーズ初のフル3DCGアニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』シーズン1を、日本アカデミー賞6部門受賞の『新聞記者』(19)や、『ヤクザと家族 The Family』(21)など実写映画で活躍する藤井道人を監督に迎え、新たなシーンを加えて再構成し、全カットフルグレーディングして劇場用長編アニメーションに。“クールビューティー代表”というイメージの草薙素子は、ロシア人イラストレーターのイリヤ・クブシノブによりキュートに生まれ変わった。少佐と呼ぶには少々、かわいらしさが濃い感じもするが、バトーの軽口やジョークは今まで以上にユーモアに溢れ、トグサの心情も共感しやすくなり、愛らしいタチコマもより愛嬌が増し増しに。『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズから最新作までを手掛ける神山健治監督は、アクションと犯罪捜査というわかりやすい構造と親近感の増したキャラクターたちにより、本作から「攻殻機動隊」に触れる方にも入りやすいエンターテイメント作品を生み出した。同時に、変わるものと変わらないものの絶妙なバランスを保ちつつ、長年の「攻殻機動隊」ファンを楽しませるアプローチも素晴らしい。

劇場用長編アニメーション『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』

2021年11月12日(金)より劇場公開中[2週間限定]



text/タナカシノブ


▼『攻殻機動隊 SAC_2045』公式サイト
https://www.ghostintheshell-sac2045.jp
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@gitssac2045 推奨ハッシュタグ: #攻殻機動隊 #sac2045
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▼『攻殻機動隊 Information』公式サイト
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©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

2021/11/18
攻殻機動隊シリーズ [特集サイト「プレイバックエモーション]【名作ヒストリー】

遡ること26年前の今日、1995年11月18日は、劇場用アニメ映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』が劇場公開された日。緻密な映像で表現された魅力的なヒロインや躍動するアクション、「人間の本質」を問う普遍的なテーマを描いた本作は、ビルボード誌の全米セルビデオチャート第1位を獲得するなど、全世界で大ヒットを記録しました。 その世界観は、映画『マトリックス』など数多くの作品に影響を与え、続編や関連シリーズがいくつも生まれました。26年経った今でも、アニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』が製作されるなど、その人気は不動のものとなっています。

多くの人を惹きつけ続ける魅力とは

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年公開)
士郎正宗により発表された原作コミック『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』を、押井守監督により1995年映画化。物語の舞台は、21世紀の近未来の日本。多くの人が脳から直接インターネットにアクセスできる時代に、公共の安全と秩序を守る警察組織「公安9課」(=通称:攻殻機動隊)の活動を描きます。原作コミックではコミカルな描写やキャラクターの表情の変化などで人間味を感じるところもありますが、映画版は、ある意味で機械的な印象になりました。それが逆に、キャラクター達が生きる世界観を際立たせ、サイボーグなどがあたりまえに存在する未来としてとても身近に感じられます。緻密に練られた時代背景、細かく書き込まれた文字や背景、汗と埃のにおい立つような描写……そんな作りこまれた近未来のビジュアルに、日本の古典音楽のようなメロディが重なる川井憲次の音楽が、独特な雰囲気を生み出し、目と耳の両方が刺激され、更に作品世界に引き込まれます。

世界的ヒットとなった『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は、前述の通り、ビルボード誌の全米セルビデオチャート第1位を記録し、30万本以上を販売しました。比較は難しいですが、当時の日本のアニメビデオが5,000本で大ヒット、という時代背景を考えると、とてもセンセーショナルな出来事でした。

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(2002年10月~)
『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(2004年1月~)
さらに大きなブームとなるのが、神山健治監督によるTVシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』です。原作コミックや劇場版とは設定が異なり、やわらかく軽快な雰囲気でキャラクターもイキイキと描かれています。
テンポのよいアクション、魅力的なキャラクター、菅野よう子の音楽、時事問題をとりあげた哲学的なストーリー……さまざまな要素が緻密に絡み合います。時代を反映した社会的なテーマである、薬害、難民問題、高齢化問題などが描かれました。続編TVシリーズ『S.A.C. 2nd GIG』も制作され、更にTVシリーズ総集編OVA2作品、完全新作の長編OVAが制作されるなど、大人気シリーズとなりました。

『攻殻機動隊ARISE』(2013年6月~)
また2013年からは黄瀬和哉総監督によるOVA『攻殻機動隊ARISE』が全4部作で制作されました。本作ではキャラクターデザイン、キャスト陣を一新。草薙素子役を、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』に少女義体の素子役で出演した坂本真綾が演じたことも話題となりました。本作は、犯罪阻止を目的とする特殊部隊“攻殻機動隊”創設とヒロイン・草薙素子を描いた作品で、2015年には、完全新作である劇場作品『攻殻機動隊 新劇場版』も制作されました。

劇場作品、TVシリーズごとに、世界観やキャラクターが重なりながらもそれぞれパラレルワールドのように存在している、それが「攻殻機動隊」シリーズの最大の魅力である、と言っても過言ではありません。

シリーズ最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』
去年、シリーズ最新作として発表された、Netflixにて全世界独占配信中の『攻殻機動隊 SAC_2045』は、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズの神山健治と、『APPLESEED』シリーズの荒牧伸志が 共同監督としてタッグを組み、田中敦子、大塚明夫、山寺宏一ほか『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズのオリジナルキャストが再集結したフル3DCGアニメーション作品です。 近未来SFの金字塔が新たに描く未来像。2045年の未来を舞台に公安9課が再びどのような活躍をするのか。世界から注目が集まりました。

絶賛公開中の最新作『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』は、シーズン1に新たなシーンの追加と全カットフルグレーディングを行い、劇場用長編アニメーションに再構成。アニメーション初監督となる藤井道人が監督として参加しました。映画『新聞記者』(日本アカデミー賞6部門受賞)など、重いテーマを密度高く描き切る監督と「攻殻機動隊」の相性は抜群では……ぜひ劇場でご覧ください!

劇場用長編アニメーション『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』

2021年11月12日(金)より劇場公開中[2週間限定]


▼『攻殻機動隊 SAC_2045』公式サイト
https://www.ghostintheshell-sac2045.jp
▼『攻殻機動隊 SAC_2045』公式Twitter
@gitssac2045 推奨ハッシュタグ: #攻殻機動隊 #sac2045
▼『攻殻機動隊 SAC_2045』公式Facebook
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▼『攻殻機動隊 SAC_2045』公式Instagram
https://www.instagram.com/gitssac2045_official

▼『攻殻機動隊 Information』公式サイト
https://v-storage.jp/sp-site/ghost-in-the-shell-special/

©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT
©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
©士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会
©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会