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作品に関するお知らせ

2026/01/20
『機動警察パトレイバー EZY』5月15日(金)より全3章構成で順次劇場公開決定!シリーズKV・特報、『EZY』イントロダクション・キャラ&メカニカル解禁!

2017年に製作決定を発表し、2022年にパイロットフィルムがイベントにて公開、さらに2024年9月に「2026年プロジェクト始動」を発表した『機動警察パトレイバー』シリーズの新作アニメーション作品『機動警察パトレイバー EZY(イズィー)』。この度、プロジェクトが本格始動。2026年5月15日(金)より全3章構成で順次劇場公開されることが決定しました。同時に、『パトレイバー』シリーズから『EZY』までを象徴するシリーズキービジュアルと特報が公開、『EZY』のイントロダクション・キャラクター&メカニカルまで一挙解禁となりました。

※以下、プレスリリースより引用しています

伝説のクリエイター集団・HEADGEARが贈る『パトレイバー』シリーズ完全新作!新たに紡がれる、新しい“あの頃”が、今ここに。劇場公開情報&シリーズキービジュアル解禁!

全8話・全3章構成にて劇場公開決定!

File 1 2026年5月15日(金)劇場公開
File 2 2026年8月14日(金)劇場公開
File 3 2027年3月 劇場公開

▲『パトレイバー』シリーズ主人公・泉野明ver.【左】
『パトレイバー EZY』主人公・久我十和ver.【右】

『パトレイバー』シリーズ主人公・泉野明と、『パトレイバー EZY』主人公・久我十和。二人が各々のパートナーであるイングラムとともに、向かい合うような構図で彼方を見つめる。

彼女たちの目に映るのは、これまで歩んできた過去、そしてこれからの第二小隊の未来。

『パトレイバー』シリーズの「これまで」そして「これから」を象徴するキービジュアルにより、2026年、新たなパトレイバーシリーズ『EZY』プロジェクトが幕を開ける!

■『パトレイバー』シリーズについて
1988年4月25日。OVA(オリジナルビデオアニメ)として産声を上げた『機動警察パトレイバー』。全6話からなるそのシリーズは、マンガ家:ゆうきまさみ、メカニックデザイナー:出渕裕、脚本家:伊藤和典、キャラクターデザイナー:高田明美、演出家:押井守の5人からなるクリエイター集団《ヘッドギア(HEADGEAR)》によって創造されました。舞台は20 世紀末の東京で、胸に桜の代紋が輝く警視庁のロボットが、街中を闊歩する世界。そこでイングラムと呼ばれるロボットに搭乗し、犯罪者に立ち向かう特車二課の隊員の活躍を、時にはコメディタッチで、時にはシリアスに描写しています。OVA、劇場版、コミック、TV アニメと次々にヒットを記録しています。

昔も今も、きっとこれからも― 『パトレイバー』シリーズから『EZY』へのバトンタッチ!イントロダクション情報&特報映像公開!

イントロダクション

1990年代末、テクノロジーの急速な発展とともに、あらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械〈レイバー〉。
しかしそれは、レイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特殊車両二課を創設してこれに対抗した。通称、特車二課パトロールレイバー中隊「パトレイバー」の誕生である。

そして、時は流れ──。
労働人口減少の一途を辿る2030年代の日本は、AI技術による自動化が進んでいた。
かつて最先端技術だった〈レイバー〉は、社会基盤を支える一部として定着。
人が搭乗するスタンドアローン型の〈レイバー〉は、自立型ロボットへの代替が進み、もはや時代遅れとなりつつあった。

だが時代が変わろうとも、特車二課の仕事は変わらない。人と街を守ること。
第二小隊は旧式98式AVイングラムをチューンナップした”AV-98Plus イングラム“とともに、知恵と勇気で新たなテクノロジー犯罪に立ち向かう。

『機動警察パトレイバー EZY(イズィー)』は全8話・全3章構成にて劇場公開される完全新作アニメーション。第1話~第6話は1話完結のオムニバス形式、第7話・第8話は連続したストーリーとなっており、新たな第二小隊にとって最大の危機が訪れることに!?

話数構成

File 1(2026年5月15日公開):「トレンドは#第二小隊」「閑中妄あり」「ホンモノが一番」
File 2(2026年8月14日公開): 「ワインと銃弾」「あさき夢みし」「恋のサバイバル」
File 3(2027年3月公開):「おもちゃの国・前編」「おもちゃの国・後編」

出渕 裕 監督 COMMENT:
当初は監督を務めるつもりはありませんでしたが、大変楽しく取り組んでいます。
「今の時代に『パトレイバー』はどう受け取られるのだろうか」とも思いましたが、本作では原点に立ち返り、1話完結型とし、王道ではなく番外編的なエピソードの連続体としての『パトレイバー』を目指しました。そのアプローチこそが『パトレイバー』の魅力だと感じてくださっている皆さまの期待を裏切らない仕上がりになっていると、自負しています。

『EZY』劇場特報公開◆

URL:https://youtu.be/Yu35eXiEpFg

キャラクター&メカニカル紹介

久我十和(くが・とわ) CV.上坂すみれ

イングラム1号機パイロット。22歳、8月8日生まれの獅子座、東京都出身。正義感と闘志に満ち、格闘戦でも怯まない威勢の良さが持ち味。
危機的状況を楽しむところがあり、自分の経験則が判断基準。時には暴走とも見えるほどの大胆さがあり、操縦技術には長けるが射撃は苦手。第二小隊配属前は生活安全課の警察官だった。趣味は時代劇鑑賞。警察官僚の兄が一人いる。天鳥桔平とは欠けたところを補いあうコンビである。

上坂すみれ COMMENT:
このたび『パトレイバー EZY』にて久我十和役を演じさせていただきますっ!!特車二課の一員に、しかもイングラムにフォワードとして搭乗…できる…なんてっ…!夢のようです!血が沸き立つようなワクワク感と共に収録に参加させていただきました!新たな世代の『パトレイバー』、特車二課を、どうぞお楽しみに!

天鳥桔平(あとり・きっぺい) CV.戸谷菊之介

イングラム1号機指揮担当。23歳、埼玉県出身、4月12日生まれの牡羊座。無茶をしがちな久我十和に振り回されながらも彼女を支える補佐役。ライフハックの引き出しが多く、筋が通らないことは大嫌い。自衛官か警察官か迷った結果、警察官になった。本来はパイロット志望だったほどのメカ好きで、初代98式イングラム”ALPHONSE"のフィギュアを机に飾っている。ひょうひょうとしてポジティブ、星占い好きなロマンチスト。人を信じようとするあまり詰めは甘い。

戸谷菊之介 COMMENT:
第二小隊一号機指揮担当、天鳥桔平 役を演じさせていただきます、戸谷菊之介です!
長く多くの方に愛されてきた『パトレイバー』の世界に関わらせていただけて、とても嬉しいです!
時代や人が変われど、第二小隊の雰囲気は変わっておらず、そんな中で十和や桔平をはじめとした第二小隊の面々に、時に笑い、時に心を熱くしながら、アニメを楽しんでいただけたら幸いです。 上映をお楽しみに!

AV-98Plus イングラム(イングラム・プラス)

特車二課で運用されるAV-98Plus イングラム(通称:イングラム・プラス)は、1998年にロールアウトされた98式AVイングラムの改良型である。機体全体のチューニングによる性能の向上に加え、制御系ソフトウェアの更新で基本性能は大幅に向上している。一方、約40年にわたって改良と再整備を繰り返しながら現役稼働していることから、派出所の警察官たちに「ポンコツ」と揶揄されることも。
パイロットのヘッドギアは、視界に情報を直接投影するAR(拡張現実)方式の HUD(ヘッドアップディスプレイ)を採用。視線を逸らすことなく必要な情報を確認できる仕様となっている。

作品概要

『機動警察パトレイバー EZY(イズィー)』

【INTRODUCTION】

1990年代末、テクノロジーの急速な発展とともに、あらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械〈レイバー〉。
しかしそれは、レイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特殊車両二課を創設してこれに対抗した。通称、特車二課パトロールレイバー中隊「パトレイバー」の誕生である。

そして、時は流れ──。
労働人口減少の一途を辿る2030年代の日本は、AI技術による自動化が進んでいた。
かつて最先端技術だった〈レイバー〉は、社会基盤を支える一部として定着。
人が搭乗するスタンドアローン型の〈レイバー〉は、自立型ロボットへの代替が進み、もはや時代遅れとなりつつあった。

だが時代が変わろうとも、特車二課の仕事は変わらない。人と街を守ること。
第二小隊は旧式98式AVイングラムをチューンナップした”AV-98Plus イングラム“とともに、知恵と勇気で新たなテクノロジー犯罪に立ち向かう。

【STAFF】

HEADGEAR PRESENTS
監督:出渕裕/脚本・シリーズ構成:伊藤和典/キャラクター原案:ゆうきまさみ/コスチュームデザイン協力:高田明美/キャラクターデザイン・総作画監督:佐藤嵩光/演出:海宝興蔵/メカニカルデザイン:海老川兼武・渭原敏明/ディスプレイデザイン:佐山善則/美術:菊地正典・秋山優太/色彩設計:伊藤由紀子/撮影監督:大河内喜夫/編集:仙土真希(REAL-T)/CG監督:森泉仁智/CG制作:GAZEN・J.C.STAFF CG部/音響監督:若林和弘/音響効果:山田香織/音響制作:マジックカプセル/音楽:川井憲次/エグゼクティブプロデューサー:真木太郎/プロデューサー:町田有也/アニメーションプロデューサー:松倉友二(J.C.STAFF)/アニメーション制作:J.C.STAFF/プロデュース:GENCO/配給:松竹ODS事業室・バンダイナムコフィルムワークス/製作:機動警察パトレイバー EZY製作委員会

【CAST】

久我十和:上坂すみれ/天鳥桔平:戸谷菊之介

【『EZY』公式サイト】

URL:https://ezy.patlabor.tokyo/

【『パトレイバー』シリーズポータルサイト】

URL:https://patlabor.tokyo/

【公式X】

@patlabor0810

©HEADGEAR / 機動警察パトレイバー EZY製作委員会


▼『EZY』公式サイト
https://ezy.patlabor.tokyo/
▼『パトレイバー』シリーズポータルサイト
https://patlabor.tokyo/
▼機動警察パトレイバー公式X
@patlabor0810

2023/08/08
機動警察パトレイバー the Movie 1+2[特集サイト「プレイバックエモーション」]【イマレコ!-今コレをレコメンド!】

時代を変えた2本の映画
――その再確認は現在の情況を照らし出す

『機動警察パトレイバー the Movie 1+2 SET Blu-ray』は1989年と1993年に公開された2本の劇場アニメをまとめたパッケージである(以下、『P1』、『P2』と略)。平成初期、日本のアニメはどのように変わっていったのか、時代性とどう関わっていたのか、近代史的な観点でも楽しめる映画である。
「もし警察に巨大ロボットが配備されたら」と「ロボットアニメ」の設定を使い、難事件に立ち向かう多彩なキャラクターたちを描いてきた「パトレイバーシリーズ」。OVAやテレビでは物語のバリエーションや登場人物の魅力が連続ものの中で展開された。
この2本の劇場版では若者よりも後藤小隊長という中年の策士を「観察者」として配置し、「現実に存在する問題」をあぶり出して「始まりと終わりのある物語世界」を提示することで、風格あふれる「映画体験」を可能としている。そして押井守監督を主軸として提示された問題意識は、世界が不安定な今だからこそ再考に値するものである。

公開当時の日本アニメは劇場アニメとOVAに濃厚さを求めるクリエイターが結集し、「緻密さと正確さ」の点で従来の基準が次々と更新されていた。パッケージ販売が定着したため、宣伝もその濃密さを「クオリティ」と言語化し、購買に結びつけていった。同じ時期、ハードの進化にともない、表現、内容ともに高度化していったゲーム文化のムーブメントとも歩調が合い、背後には高度化していくIT産業界の歩みがあった。
1991年には、携帯電話がデジタル化されている。このインフラの激変が象徴するように、電子デバイスの高集積化によってネットワーク通信を媒介とする個々人の意識が大きく進展した時期に、この2作が作られたことも注目に値する。実際、同時代的にはアニメ雑誌など紙媒体よりも、初期のパソコン通信に参加したメンバーの方が作品の主張をリアルタイムで正確にとらえ、高く評価していたのだった。

30年分をまたぐこの種の「時代の検証」をしてみると、本パッケージは「なぜ2020年代の今がこうなってしまったのか」と再考するヒントをいくつもあたえてくれる。だから鑑賞に際しては、「当たり前」と見過ごしがちな部分こそ観察してほしい。
代表例は、1989年公開の『P1』で使われた犯罪の道具、人型機械レイバーの基本ソフトOSに仕込まれたコンピューターウイルスだ。当時のパソコンはMS DOSマシンを専門家とマニアが使っているに過ぎなかった。OSがオペレーティング・システムの略語だと周知され、ネット通信が社会全体を根底から変える影響力を有していることが発覚するのは、1995年のWindows 95以後のことなのだ。

さらに1993年公開の『P2』は、「武力行使による現状変更」が発生し、戦争が議論されている現在だからこそ、再見に値する作品である。注目すべきは先述のような「IT時代の戦争」が的確に描かれていることだ。1990年、湾岸戦争の報道映像がテレビで流れたことをふまえ、兵器やミサイルなど人間でない者の「主観映像」や「モニターグラフィックス」が多用されている。
さらに防空システムへのハッキングによる敵機のフェイク情報と同士討ちへの誘導も、ネット情報に汚染されて敵意をむき出しにする大衆が激増した現在のほうが、恐ろしさが身近に感じられるはずだ。警察、自衛隊と日本に実在する2大武装組織による衝突も、世界中で続く「内戦」とすり合わせることで、迫真度が増すだろう。都心の要所でアンテナや橋梁が戦闘ヘリに空爆され、地下施設も爆破によって破断されて通信網がブラックアウトさせられる。この『P2』最大の見せ場も、日常生活が通信インフラに強く依存するようになった現在、切実に感じられるに違いない。

もちろん古びた部分も少なくはないが、このように「何を訴えたかったのか」という中核部は、むしろ鮮明さを増した。それは人の営みの「本質」が正確に描かれた上で、サイバー時代以後に生じる新たなコンフリクトが、的確にとらえられていたからだ。
この2本に共通する注目ポイントを、さらに挙げておく。それは「現実に近い東京の姿」である。時代設定は西暦2000年前後とされ、携帯電話やスマートフォンの実現、あるいは湾岸地域の急開発など、ある部分では未来予想が追いついていないとは言え、「東京の景観」が引き写されているがゆえに、現実との地続き感は健在である。

それはこの2本の劇場作品が、日本アニメの制作手法に大きな影響をあたえることになったことと無関係ではない。水路など視点を変えて東京の実風景をロケハンし、画面に反映する手法は、デジタルカメラが一般化した21世紀以後、いわゆる「聖地巡礼」のブームを呼んで大きく発展した。動くセル画部分と動かない背景部分を「最終画面の設計図」としてまとめる「レイアウト」に時間を割き、演出の意図を反映すべく入念にチェックする方法論は、現在どのアニメ制作の現場でも重視されている。
であれば、その元祖である『P1』と『P2』の再確認には大きな意義がある。たとえば「手描きの絵」だからこそ、「東京のエッセンス」を迫真の力で表現することが可能となっていることは、元の写真を単に引き写しただけの背景が増えている現在、要注目だ。「人が描いた力」が映画に緊張感をあたえ、鑑賞者に「これはどういうことなのか」と思索をうながす触媒となる。「人の意識の媒介」は映画のテーマとも響きあうものだ。
「なぜそういうことをしたのか、どんな効果があったのか」を再確認することで、単なる技法ではなく、思索を触発するものだったと、目的意識が明らかになるだろう。そしてその思索を2023年現在に起きている様々な事件と重ねてみれば、これから起きることへの対応力を向上できるかもしれない。
以上のように、刻々と変わる時代相に対応できうるこの2本の映画こそ、まさに「古典」と呼ぶにふさわしい作品と言えるのである。

文:氷川竜介(アニメ特撮研究家)

<発売情報>

機動警察パトレイバー the Movie 1+2 SET
Blu-ray(期間限定生産)

2023年8月10日発売
税込価格:¥8,910
品番:BCXA-1857

▼機動警察パトレイバー 公式サイト
https://patlabor.tokyo/

©1989 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA
©1993 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA/Production I.G

2023/08/07
機動警察パトレイバー[特集サイト「プレイバックエモーション」]【名作ヒストリー】

20世紀末が近づく6年間——
「パトレイバーシリーズ」の提示した先駆的な挑戦

1983年末に『ダロス』から始まった新メディア「OVA(オリジナルビデオアニメーション)」は、日本アニメに大きな変革をもたらした。テレビ放送から離れ、反復視聴可能な作品を個人へ直接売ることで、菓子や玩具販売目的の制約を離れ、中身(コンテンツ)で勝負できるようになったのである。1988年4月に発売されたOVA『機動警察パトレイバー』全6話シリーズ(後に1話追加)は、その変革の第二段階に位置づけられる。
初期OVAに対しては、送り手も受け手も戸惑いがあった。1本数千円から1万円を超える価格設定に対し、何をもって満足とするか、定まっていなかったのである。「テレビ以上・劇場未満」の認識はあるものの、前例がないため予算や収益面でも振れ幅が大きく、メーカーや制作会社にとってはリスキーであることが、次第に判明し始めた。
その結果、「複数本でシリーズ化してコストダウン」というアイデアが出る。その方向性にフィットしたのが、原作者集団ヘッドギアが開発したオリジナル企画『機動警察パトレイバー』であった。「もし警察に巨大ロボットが配備されたら」という「リアルロボット路線」の発想に加え、組織をハミ出すユニークなキャラ集団「特殊車輌二課」(通称「特車二課」)が用意され、人気の要素が仕込まれている。毎回起きる事件へキャラが対処することでストーリーを転がせる構造の点では、限りなくテレビ寄りであった。その全6話の構成は「テレビの1クール(13話)の半分」に由来する。これは現在の「1クール深夜アニメ」の原点なのであった。

▲アーリーデイズ

ヘッドギアは漫画家・ゆうきまさみ、メカデザイナー・出渕裕、キャラクターデザイナー・高田明美、脚本家・伊藤和典で結成されたユニットで、骨子が固まった後に押井守監督が合流する。ゆうきまさみのコミック版を「週刊少年サンデー」に連載することで認知度を高め、商品にCMを挿入するなどの工夫で徹底した低価格路線を打ちだし、スマッシュヒットを実現した。現在では識別のため「アーリーデイズ」と添えられた本シリーズが成功した影響で「4~6話シリーズのOVA」が急増した。
とは言え、OVAはニッチ市場である。普通なら「次はテレビへ」と展開するのだが、シリーズの隔月リリース中に劇場映画化が発表される。それが1989年7月公開の『機動警察パトレイバー劇場版』であった。
ヘッドギアとメインの関係者は、劇場には多彩な観客が訪れることを意識し、ファンムービーではなく「娯楽映画としてのパトレイバー」を極める方向性へと大きく舵を切った。作品をまとめる押井守監督の作家性が、これに大きく貢献する。
東京生まれの押井守は、東京を舞台とする「パトレイバー世界」を使い、バブル経済に浮かれる日本の時流に批評的な疑問を提示した。地上げが続いて古い建物が壊されて情緒が消失し、投機目的の無機質なビルが立ち並ぶ。正体不明のエンジニアが都市の破壊を企むが、自死した犯人に代わり、人型機械レイバーのOSに仕込まれたコンピューターウイルスがテロを実行する。後世を先取りする非常に高度な内容となった。アニメーション制作はOVA同様にスタジオディーンが担当し、実際の現場はアイジー竜の子(現:Production I.G)が手がけて、緻密な映像表現が実現する。

▲劇場版

この長編と並行し、10月からのテレビシリーズが急遽決定した。現在では『機動警察パトレイバー ON TELEVISION』と呼称されている作品で、物語もテレビ用に仕切り直している。これは夢の実現であったが、あまりにも短期間となった。監督は押井守からOVA第7話を手がけた吉永尚之に交代、ロボットアニメの老舗サンライズが現場となり、突貫工事的に放送がスタートする。
当初は2クール(全26話)の予定であったが、人気が出たため全47話、約1年間と延長が決まる。ストーリーをまとめる伊藤和典は苦心の末、コミック版のグリフォン編を参照するなどして題材不足を補強しつつ、日常的な行動を掘り下げることで、より身近な生活感あふれる色彩を濃くして毎週の放送を乗りきった。各キャラクターの人気も、ここで盤石なものとなる。

▲TVシリーズ

ところが、さらなる長期化が続いた。1990年代に入り、レーザーディスクが普及したことを前提に、テレビアニメをパッケージ販売するビジネスが立ち上がっていた。その多くは1巻4話収録、毎月発売の体裁だったが、1990年11月と放送終了直後から始まったパッケージは「1巻あたりテレビ版(パッケージ化にあたりSE・BGMをステレオ化)を3話、新OVAを1話収録」と、異色のフォーマットを取ったのだ。(上記パッケージが“P(パーフェクト)バージョン”、新OVAだけを収録した“S(スタンダード)バージョン”も同時にリリースされた)現在では『機動警察パトレイバー NEW OVA』とされる新シリーズの開始である。
大きな意図として、グリフォンとの戦いに決着をつけることがあった。これに全4話と長尺が割り振られ、その他もテレビの続編やバリエーションが多く用意され、全体を掘り下げることで、何度も繰り返し鑑賞可能とする手厚いサービスであった。このリリースは全16巻、1992年4月まで1年半にわたって続く。最初期から4年の歳月が経過していた。

▲新OVAシリーズ

1993年8月、『機動警察パトレイバー2 the Movie』が劇場公開される。成立、内容ともにこれまでの流れとは隔絶した部分を多々有する作品だ。特車二課メンバーはそれぞれ別部署に転属し、後藤と南雲、2人の小隊長を中心にストーリーが展開する。湾岸戦争で兵器類が電子制御主体となった現実をふまえ、「もし東京を舞台にIT技術を駆使した内戦情況が出現したら」という仕立てで、現実世界に起き得る事象を照らし出し、「戦争を考える」というテーマを前面に押し出した。アニメ映画におけるリアリティ・レベルを格段に向上させた作品としても後続に大きな影響をあたえ、シリーズを完結させたような内容も話題となった。

▲2 the Movie

以後10年近く、「パトレイバーシリーズ」は休眠状態となる。21世紀になって作られた作品群については、詳細を略す。1988年から1993年まで、6年間で日本のアニメ全体に大きな影響をおよぼした本シリーズ、興味を惹かれたタイトルから入り、気に入ったら縦横に展開した足跡をたどってみてはいかがだろうか。先駆的だった物語の全貌を追体験する中で、明日へのヒントが何か見いだせるかもしれない。

文:氷川竜介(アニメ特撮研究家)

<発売情報>

機動警察パトレイバー the Movie 1+2 SET
Blu-ray(期間限定生産)

2023年8月10日発売
税込価格:¥8,910
品番:BCXA-1857

▼機動警察パトレイバー 公式サイト
https://patlabor.tokyo/

©HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA
©1989 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA
©1993 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA/Production I.G