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- インタビュー
クリエイターインタビュー 第26回 デザイナー、イラストレーター 横井孝二
サンライズ作品のキーパーソンとなった人物に自身の関わった作品を振り返ってもらうクリエイターインタビュー。今回は、店舗企画「SUNRISE WORLD ~デフォルメロボットフェア~」にて、イラストレーションを手掛けた横井考二さんが登場。サンライズワールドでは、横井さんのデビューまでの経緯やサンライズのリアルロボット作品への思いを語ってもらった。
連動企画としてGUNDAM Official Websitでは「SDガンダム」で描かれる表情を含めたキャラクター性のこだわり、デフォルメで描くポイントなどについて語られていますので、そちらも併せてお楽しみください。
――横井さんはどのようなきっかけで、デフォルメイラストを描き始めたのでしょうか
横井 小学生の頃に鳥山明先生の『Dr.スランプ』を読んだのが大きなきっかけで、そこからデフォルメ風の描き方に憧れるようになりました。鳥山さんのデビュー以前にも当時はデフォルメタッチの絵はいろいろありましたし、よく読んでいたマンガも頭身があまり高く描かれていないものが多くて、子供向け雑誌の「テレビマガジン」に掲載されているイラストやマンガで、特撮やアニメのキャラクターをデフォルメされて描かれているのを見ていたし、マンガ家の成井紀郎(なるいとしろう)さんの絵も好きでした。そうした風潮にも影響されたのか、キャラクターが丸まって縮んでいる絵をよく描いていまして。そんな中で、鳥山明さんの絵はすごくフィギュア寄りというか、立体が欲しくなるような描き方が素晴らしくて。マンガの内容よりも、町並みの描き方も含めてフィギュアがマンガの世界を作っているようにみえるスタイルに憧れました。そんな影響があったので、その後、いろんな雑誌にハガキ職人的に投稿している時も「鳥山劣」というペンネームを使わせていただいて、絵の方も“鳥山明風デフォルメのロボット”という感じで描いていました。
――そんな鳥山さんに憧れると同時に『機動戦士ガンダム』やサンライズ作品にも触れていたわけですね。
横井 そうですね。鳥山さんが注目された頃と『機動戦士ガンダム』がほぼ同じくらいのタイミングだったので、両方の美味しいとこ取りじゃないですが、自分で絵を描くにあたって好きなものと好きなものをくっつけた印象ですね。ただ、投稿をしはじめた初期の頃は、そんなにデフォルメできてなくて、劇中で活躍するズゴックをそのまま描き写して投稿したりしていました。それが、投稿の数をこなしている間にだんだんラインが固まっていった感じですね。それと同時に雑誌に自分の絵が掲載される喜びと描く喜びが重なり合っていって。中でも当時のバンダイのホビー事業部が出していた「模型情報」という雑誌は、ハガキを出せば載るくらいの感じだったのでたくさん投稿していました。それが中学生くらいの頃でしたね。
――その投稿がイラストレーターとしてデビューするきっかけになったのでしょうか?
横井 僕が進学した高校にアニメ研究会みたいなものがあったんです。そこではその時に流行っているアニメの特集をした会報を出していました。僕も会報にマンガを描いて載せていたんですが、調子に乗ってその会報を「模型情報」の編集部に送ったところ、自宅に編集長から電話があって「誌面リニューアルに先行して4コママンガを載せようと思うんですが、描いてみませんか?」と声をかけていただきました。
――それが84年で、高校生で商業デビューされたということですが、サンライズ作品だと『重戦機エルガイム』が放送されていた頃ですね。
横井 そうですね。直前の『聖戦士ダンバイン』くらいまでは、読者としてハガキを送っていましたからね。
――当時、サンライズのリアルロボットものはどのように楽しまれていたのでしょうか?
横井 もう、放送されている作品は全部見る、全部追いかけるという感じでした。毎月アニメ雑誌を買い、ムックなどの資料系の本が出ると買い揃えていましたね。プラモデルも買いはするんですが、そちらは作らずに積んでしまっていましたが(笑)
――サンライズのリアルロボットアニメの中で、お気に入りの作品は何ですか?
横井 『銀河漂流バイファム』が好きですね。キャラクターデザインは芦田豊雄さんが担当されているんですが、芦田さんのキャラクターの絵は鳥山明さんの影響がありますよね。
――芦田さんはアニメの『Dr.スランプ アラレちゃん』のキャラクターデザインも担当されていましたね。
横井 大河原邦男さんがデザインされたラウンドバーニアンも、フォルム重視で良い感じにディテールが省略されていた雰囲気も好きでした。お話も少年少女の冒険記という感じでわかりやすく、子供同士のやり取りがグッと来やすい感じで。だから作品として大好きでしたね。あとは『戦闘メカ ザブングル』も好きでした。シリアスなリアルロボットアニメも好きですが、どうしても悲しい結末になるものが多いので、元々ギャグマンガやパロディマンガが好きだということもあって、明るめの作品を好んでいましたね。
――ちなみに、サンライズという会社に対してはどのような印象がありましたか。
横井 僕は名古屋出身で、現在のメ〜テレ、当時の名古屋テレビが製作するアニメ作品をよく作っている会社だなと思っていました。ロボットアニメ好きとしては、すごくしっかりとしたロボットの活躍を描いてくれるという信頼感もありました。リアルロボットものでは、設定などもしっかりしているので、安心のサンライズクオリティという感じですね。作品を見ながらクリエイターの名前も覚えていったので、例えば『ダンバイン』の時は「次は大河原さんじゃなくて、スタジオぬえの宮武一貴さんが担当なのか」みたいなことに喜んだりしたのをはじめ、サンライズ作品を見ていたおかげでアニメ雑誌のアニメーター特集、デザイナー特集、演出家特集とかも楽しく読むことができました。
――当初は趣味で関わっていたリアルロボットのデフォルメ化ですが、仕事で関わる中でデザインの変化などについてはどのように感じられましたか?
横井 僕の場合は自分でデザインするというよりは、すでに存在するものを縮めるのが仕事なので、そこで悩む部分はありますね。デザインとしては、「ここを見せたい」というところを、縮める時はどうしてもすっ飛ばして描かなければならないんです。よくあるパターンだと、膝関節はメカデザインをされるときには凄く凝って描かれているのに、そっちを優先するとデフォルメにできない。でも、その凝った部分を無くした場合は、果たして「らしさ」が在るのか? そんな疑問はいつも抱えながら描いています
――デザインが複雑化していくとデフォルメの方向性で悩むことが多くなるわけですね。
横井 縮めちゃうと結果的には別ものですからね。エルガイムのヘビーメタルは、ほっそりとしたプロポーションや膝周りのディテールなどがデザインのポイントだと思うんですが、それを全部ギュっとしちゃっているわけで、「これは果たしてヘビーメタルなのか?」と思いつつ、でも縮めちゃうんです。
――デフォルメ化させる際には、どのデザイナーの方が手掛けたメカが描きやすいとかありますか?
横井 デフォルメ化への挑戦という意味では、どの方が描いたものでも楽しいんですが、やっぱり大河原さんのデザインのものは安心しますね。基本ラインがしっかりと決まっているので、やりやすいというよりは教科書に近いというか。それを元に他の方の描くデザインをディテールを変化させてデフォルメ化している感じですね。
――今回、サンライズワールドの企画では、ガオガイガーやキングエクスカイザーなど、これまで手掛けられなかった勇者シリーズのロボットなどのデフォルメイラストも描かれています。手掛けてみた感想はいかがでしたか。

横井 やっぱり嬉しかったですね。大河原さんのデザインでもあるし、勇者系のメカは魅力的だったのでやっと描けたという感じです。個人的には好きなデザインだったので、仕事ではなく、趣味では何度か描いていたんですが、今回はオフィシャルで描かせていただけるのでずっとお声がかかるのを待っていたということも含めて喜びも大きいです。オフィシャルのイラストとなると、目にしていただける人が増えるので、自分が好きなように描くだけではダメで、ファンの皆さんに「デフォルメではこんな風になったんだ」と納得してもらえるようになるよう仕上げました。
―第1弾の『勇者王ガオガイガー』はそうした思いが溢れるような勢いを感じますね。ガオガイガーは、元のデザイン段階で胸の顔や肩の新幹線、膝のドリルなど欠かせない要素が多く密度感が凄いですね。
横井 ディテールが多いのでギュッと詰めすぎるくらいになりましたね。細部に関してはデジタルでの作画の良さで、できるだけ拡大してディテールを入れるようにしました。
――第2弾では『ゼーガペイン』からゼーガペイン ・アルティールというちょっと特殊なメカも描かれていますね。
横井 ゼーガペインは、3Dモデリングされたロボットということもあって難しかったです。線画で描いている時は透明な装甲のラインも実線で入れているので、線がたくさん入り組んでしまって「本当にこれでゼーガペインになっているのかな?」という疑問を持ちながら線を引いていたんですが、実際に色を入れたら納得できました。
――3Dを前提にデザインされたメカということもあって、色を載せないと透明な装甲部分の表現が難しそうですね。

横井 色を載せるまでは、きちんと仕上がるのかは本当に不安でした。透明の装甲は、作業をしているときに薄く色を入れてみたところいい感じに仕上がっているのがわかったのでホッとしましたね。色を塗っている時に下半身のディテールが多くなっているのに気付いたので、後から省略するなど調整にも時間がかかっていますね。最初は苦労したんですが、作業をしていくうちにいい仕上がりになっていったのでだんだん楽しくなっていきました。今までに描いたことがないタイプだったので、いろいろ挑戦できたのが良かったです。
――『コードギアス 反逆のルルーシュ』からはランスロットを描かれていますね。
横井 ランスロットは「やっぱりこのポーズ」という決めカットがあったので、作業はものすごく早かったですね。イメージが固まっているものは、迷わずに済むので、慣れている他のメカよりも描き上げるのが早かったですね。
――一方、『聖戦士ダンバイン』や『重戦機エルガイム』を描くのは久しぶりでしたか?

横井 昔の友だちに会うような感じでしたね。第1弾のダンバインは湖川友謙さんが描く皆さんご存知のポーズで描かせていただいたので、ビルバインもそれに合わせて並べて置けるようなイメージで描いています。エルガイムMk-Ⅱはオープニングの決めカットがベースなんですが、そちらだと顔が正面を向いている感じなんですよね。でもエルガイムMk-Ⅱは横顔美人というか、ちょっと角度がついていた方が映えるので少し斜めを向いて描いています。ダンバインやエルガイムはよく描かせてもらったので、手や指が覚えている感じでしたね。
――それでは最後に、横井さんのように絵を描きたい、こういう仕事に就いてみたいと思っている方に向けてアドバイスをお願いします。
横井 僕自身はずっと他の方が描いたデザインをデフォルメするのに力を入れてしまったので、オリジナルを考える余地がないままここまで来てしまったんですよね。そこにはちょっと後悔もあるし、自分の引き出しの少なさに反省しているところもありまして。だから、オリジナルのものは描けるうちに挑戦しておくべきだと思います。
――他の方が描いたお仕事からいろいろと取り入れて、真似して描いたりしながらデザイン的な解釈を取り入れるのも勉強でありつつも、自分のオリジナルは何なのかを考えることも大事ということですか?
横井 そうですね。オリジナルを描くのが楽しくなったらそっちに進むのもいいと思います。どんな仕事もそうですが、みんなマネすることから入って、いろいろとやっていくうちに自分の描きたいものを描くようになっていくと思うので、それをどんどん進めていって欲しいですね。
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横井孝二 プロフィール
1968年3月12日生まれ。愛知県名古屋市出身。イラストレーター、キャラクターデザイナー、マンガ家で、愛称は「横井画伯」。
一大ブームを築き上げた『SDガンダム』をはじめ、様々な作品のキャラクターをSDキャラとしてデザインしている。
「SUNRISE WORLD ~デフォルメロボットフェア~」
【開催概要】
日時 2026年7月17日(金)
店舗 サンライズワールド6店舗(TOKYO、YOKOHAMA、HAKATA、KYOTO、SENDAI、KOSHIGAYA)
新商品 ホログラム缶バッジ(全6種ランダム)、ホログラムステッカー(全6種ランダム)、キービジュアルアクリルプレート(全1種)、アクリルジオラマ(全6種)、Tシャツ(2種)
TOKYO店舗のみ7月19日(日)に「横井孝二直筆サイン入りフレームアート」抽選販売実施。







